太陽誘電のBluetooth方向検知機能を活用した新たな位置検出ソリューションの可能性

2020年のBluetooth 市場動向によると、位置情報サービスは最も急成長しているBluetooth®ソリューション分野です。Bluetoothの位置情報サービス機器の年間出荷台数は、2024年までに推定5億3800万台に増加すると予測されており、2019年から2024年の年平均成長率(CAGR)は34%と推定されています。Bluetoothコア仕様の最近のバージョンで導入された新機能Bluetooth方向検知機能は、開発者によるBluetooth位置情報サービスの最適化を可能にする高精度な屋内測位をサポートしています。

先日、太陽誘電の加藤秀樹氏に、IT・電子技術分野の産業の成長の促進にBluetooth位置情報サービスをどのように活用しているのか、お話を伺う機会がありました。また今日、COVID-19により人と人との接触を減らすことを余儀なくされる中、多くのオフィスや施設、公共の場が安全に営業を再開するための解決策としてBluetooth位置情報サービスがどのように活用されうるのか。COVID-19対策のために、Bluetooth技術が果たす役割について加藤氏にお話していただきました。

 

「昨今のコロナ禍環境で経済活動の自粛を余儀なくされている企業様、団体様に対して、従業員の方々やお客様に極力負担をかけずに3密状態を見える化するシステムとして、Bluetoothは大きな可能性を持っています。Bluetooth自身にウィルスを殺す力はありませんが、より効果的かつ経済的な見える化システムの出現をご期待ください」

加藤 秀樹 氏

太陽誘電

加藤秀樹氏とのQ&A

御社はどのような市場で、ソリューションを提供しているのでしょうか?

当社は産業機器等のB to B市場向けモジュールを中心に展開しています。この市場では、モジュールの性能はもとより、品質やサポートが重要なファクターになっています。アンテナ評価、電波法認証サポート等のスキルを高めることにより、お客様の要求に応えています。

 

Bluetooth技術を採用した理由は?

Bluetooth技術は、世界中どこでも使える優れた電力効率と高い汎用性が特徴です。

IoTの進化に伴い、スマートフォンやモバイル機器ではBluetooth®技術が標準となっています。また、もともとこの技術を搭載することを意図していなかったデバイスでも、Bluetoothソリューションが使用されるケースが増えています。多様な市場やイノベーションの中で、Bluetooth 技術の利用は増え続けています。太陽誘電は、電子部品を扱う老舗の会社であり、長年にわたりBluetooth を応用してきました。Bluetoothは数ある通信方式の中でも低消費電力で動作出来ることと、世界どこでも使用でき汎用性に優れています。今まで無線IoTとはあまり縁のなかった業種で、これからIoT化を検討されるお客様には最も優れた通信方式の一つとなります。

 

先日、弊社ではBluetooth®コア仕様のバージョン5.1で追加された方向検知機能を搭載したモジュールを発売し、電界強度(RSSIベース)の測位と合わせて、より高精度な多機能測位の可能性を広げました。動作温度範囲は-40℃~85℃で、屋外用産業機器など厳しい温度条件にさらされる機器でも使用できます。また、低消費電力で簡単にデータ通信ができるBluetoothの基本機能を搭載しており、産業機器市場での需要が高いと考えられます。

 

Bluetoothの方向検知機能を活用した結果、どのようなメリットが得られましたか?

Bluetoothを使用したアプリケーションの一つとして、位置測位への応用は過去から行われてきました。しかし、今までは電界強度を利用した位置検出が主流であり、周囲環境の影響を受け易く高精度の測位を実現させるためには多くのハードルが有りました。今回Bluetooth SIGで規定化された方向検知機能を利用する事により、より高精度の位置検出システムが実現できます。

方向検知機能を実装するには、送信機から発せられた信号をアレーアンテナで拾い、アンテナエレメントを介してIQ信号を受信する角度を計算します。モジュールでは測位精度の数値化はできませんが、実験では、周囲の環境やアンテナエレメントの間隔、反射などによる遅延波を除去するアルゴリズムにより、50〜100cmの測位精度は実現できると考えています。

 

COVID-19で休業を余儀なくされた公共の場やオフィスなどの再開に向けたプロジェクトについて、もっと詳しく教えていただけますか?

昨今の新型コロナウイルスによる影響は民間、企業共に大きくなっています。この状況下、今後はソーシャルディスタンスを中心とした新生活様式、個人個人のバイタル管理が重要となります。個人の取り組みを補完するツールとしてBluetoothを利用したシステムの活用が検討されています。不幸にも陽性者が出てしまった場合の動線履歴管理、ソーシャルディスタンスを確保する為の管理ツール、体温管理ツール等様々な検討が行われています。

 

公共の場やオフィスなどを再開できるようになると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

今後は誰でも感染する可能性を考えた社会生活、経済活動を行う必要があり、その為には感染しない、感染させない活動が重要です。しかし、社会生活、経済活動の停滞を最小限に留めた活動を行う為には、個人個人の意識だけでなく、ツールやシステムを利用した補完が重要と考えます。Bluetoothを利用したツールやシステムは個人個人の動きや状態を見える化するシステムを実現させるポテンシャルを持っており、これからの社会生活、経済活動のベースの部分での補強を行えると考えます。